バイクでキャンプをするときに一番難しいのは「荷物の積み方」。
「あの大量のキャンプ道具を、どうやってバイクに積んだら良いの?」と悩んでいる方向けに、積載ノウハウを伝授いたします!
2輪の積載ルールから効率的な積み方、バッグ選び、荷造りのコツまで、私のキャンプツーリング歴10年で培った情報をお見せします。
ぜひ参考にどうぞ!

バイクのキャンプ積載のことなら、俺に任せろ!
【基礎知識】積載のルールと積載箇所
まずは、バイクへの荷物積載ルールを知っておきましょう。
とてもややこしいので、最後に分かりやすくまとめています。
2輪の積載に関する法律を要約すると、荷物の寸歩やはみ出しの制限は以下のようになります。
重量:60kgまで
幅:はみ出しが乗車装置or積載装置から左右15cmずつまで
長さ:はみ出しが乗車装置or積載装置から30cmまで
高さ:地面から2mまで
重量と重さの制限は、常識的な積載であればまず超過することはありません。
幅と長さがややこしくて、「乗車装置or積載装置って何?」というところを解説しますと…
乗車装置とはリアシートやステップ、積載装置はサイドバッグやリアボックスのことを指します。
これを実際の写真に当てはめると、↓このようになります。


(左)は「積載装置を付けていない」状態です。
この場合、リアシートまたはステップ(乗車装置)から左右15cmずつ、長さ30cmまでの荷物を載せてOK、ということになります。
(右)はサイドバッグとリアボックス(積載装置)を付けている状態です。
この場合はサイドバッグから左右15cm、リアボックスから30cmまで積載OK、となります。
バッグ(積載装置)の装着次第で最大限詰める荷物の大きさが変わる、ということですね。
「じゃあ、大きなバッグにさえ入れてしまえば何でもいいのか!」というと、そうではないのです。
ここを1番理解しておかないといけません。
「リアシートバッグは積載装置にならない」のです。
これが、2輪積載ルールの落とし穴。
積載装置=サイドバッグやリアボックスなど、荷物を運ぶために取り付けられる構造物。
シートバッグは積載装置に該当しないため、積載装置ではなく「積載物」になります。
リアシート・ステップから左右15cmを超える幅広シートバッグを載せると違反となる可能性があります。
仮にリアシート・ステップの最大幅が30cmだとすると、積載装置がない場合は幅60cmまでの荷物しか積めません。
つまり、細身のバイクで積載量を確保するにはサイドバッグの装着がほぼ必須となってきます。
参考:BIKE SUP バイクの荷物の積載制限

法律って難しいね…。大きいリアシートバッグ1個にまとめるのは結構危ないかも。
・サイドバッグを付けない場合、荷物幅はリアシート・ステップから左右15cmずつまで。
・サイドバッグを付ければ、そこから左右15cmずつまではみ出してもOK。
自分のバイクがサイドバッグ無しでそれだけ荷物を詰めるか、イメージしておきましょう。
現実的に、コンパクトかつ最小限の荷物でまとめないとシートバッグ1個には収まらないと思います。
そこで次に覚えるべきは積載箇所。
どこにどう荷物を積めばよいのかを考えていきましょう。
一般的には以下の4箇所が主な積載ポイントとなってきます。
それぞれにどういった特徴があるのか解説していきます。

リアシートバッグ…大きく重い荷物の積載に適している。テントや寝袋など、メインのキャンプ道具を収納するのが一般的。最も容量が稼げるので、自分のバイクに合う最大限の物を選ぶと良い。
サイドバッグ…特定の状況で出し入れする荷物に適している。レインウェアや防寒着、帽子、シートバッグに入り切らない調理道具など。
荷物幅の上限を広げられる他、荷物の重心を低く抑えられ乗り降りの際に跨ぎやすいという特徴も。
リアボックス…防水性やセキュリティ性がある。バイクから離れる際にヘルメットなどを入れておくのに最適。とにかく使い勝手がよく、普段のツーリングでも大活躍。
タンクバッグ…紙のマップに加え、貴重品や小物などの補助的な荷物入れ。スマホやフェリーのチケット、車検証、モバイルバッテリーなど。
キャンプ道具はかなり嵩張るので、初めは「荷物が入り切らない!」となることがよくあります。
なので、多くの荷物を効率的に載せるためのバッグ選びが重要になってきます。
せっかく買ったキャンプ道具が持っていけない、もっと欲しい物があるのにこれ以上荷物を増やせない。
こうなるのはちょっと悲しいですからね。
とはいえ値段もピンキリでメーカーや特徴も様々。
次の項目から、予算や目的に応じたバッグ選びの方法と、おすすめアイテムを紹介してきます。
【道具】バッグの選び方とおすすめ
バッグの選ぶときは、以下のポイントを見て選びましょう。
・大きさ…積載違反とならない大きさか、どこかに干渉しないか、必要な容量か
・固定方法…自身のバイクに合うか、しっかり固定できるか、簡単につけ外しが出来るか
・防水性…雨対策があるか、耐性はどの程度か、方法はどのようなものか
・機能性…使いやすい工夫があるか、ライディングに耐えうる強度があるか
バイクに取り付けて走行するという特性上、雨風に耐えること、ズレたり外れたりしないことが重要になってきます。
安全にも関わる所なので、信頼できるメーカー・実績のあるモノのみを紹介しています。
リアシートバッグ
TANAX フィールドシートバッグ
容量39〜59L 固定ベルト4本 防水カバーで対応 機能性かなり多彩
ツーリングバッグの定番、タナックスのキャンプ向け大型シートバッグ。
たくさんのバリエーションがある中、ちょうど中間サイズに当たるのがこのフィールドシートバッグ。
荷物をコンパクトにまとめれば、最大容量59Lでも全ての荷物が収めることが可能。
荷物を取り出しやすい横開き式、荷物増量に対応する上面袋収納、ドリンクホルダーなど、多くの機能が詰まっています。
レインカバーも標準装備で雨でも安心。
小〜中排気量のバイクで多く使われているベストセラーなので、迷ったらこれで間違いなし。
TANAX キャンピングシートバッグ2
容量59L〜75L 固定ベルト4本 防水カバーで対応 機能性かなり多彩
フィールドシートバッグの機能性はそのままに、さらに容量を拡大した大型バッグ。
荷物をバッグひとつにまとめたいのであれば、このくらいのサイズは欲しい所。
横幅が標準で62cmあるので、大型バイク向け。
大型バイクでもSSなどの場合は、積載制限で単独使用できない可能性もあるので注意!
WILD HEART 防水バッグシリーズ
容量77L 固定ベルト2本 防水防水素材 機能性超シンプル
私も愛用しているWILD HEARTの防水バッグ。値段が安くて使い勝手も良く、おすすめの一品。
その名の通り防水素材でできているので、突然の雨に慌ててカバーをかける必要がありません。
タナックスのような多機能はなく、メイン荷室と小さいポケットがあるだけのシンプル構造。
部屋が別れていない分、何も考えずにポイポイ道具を放り込める。開口部も大きくて楽ちん。
固定用の長いベルトが2本付属するので、バイクに合わせて工夫しながら固定できます。
シンプルなデザインなので車種を選ばず、ワイルドにもスマートにもなる見た目もポイント。
サイドバッグ
TANAX ツアーシェルケース2
容量20L*2 固定ベース+ベルト2本(片側) 防水ポーチ&カバー 機能性結構ある
こちらも私の愛用品、タナックスの大型サイドバッグ「ツアーシェルケース2」。
無駄なく道具が詰め込める四角形と、パニアケースのような見た目が推しポイント。
横開き式なので、サイドバッグの上に荷物が乗っていても荷物が出し入れできます。
レインカバーは別売りですが、今のところ私は浸水した経験がありません。
便利な裏技として、無印の箱をインナーケースとして使えるよ。
これありきで見るなら、これ以上便利なサイドバッグは他に見当たりませんね!
→ツアーシェルケースにぴったりのインナーケースを発見!
タナックス カービングシェルケース
容量16L*2 固定土台+ベルト2本 防水ポーチで対応 機能性スポーツバイク向け
スポーツバイク向けに作られたサイドバッグ。
固定箇所が少ないバイクでもしっかりと固定でき、細いリアシートにも取り付けやすい工夫が満載。
シェイプアップした形状はマフラーやウインカーとの干渉を防ぎ、テールランプが隠れないようになっています。
かっこいいバイクのデザインを損なわずに積載容量を確保できる、SSでキャンプするのに欠かせないアイテムの1つ。
WILD HEART 防水サドルバッグ
容量20L*2 固定ベルト4本 防水防水素材 機能性超シンプル
WILD HEARTのサイドバッグ版。こちらも防水対策が必要なく、値段も安い。
リアシートをまたぐようにベルクロで挟み、ベルトで固定します。
ループが多くついているので、バイクに合わせて多様な固定方法に対応します。
他社製品と比べてもかなり安いので、キャンプに行く頻度が高くない人でも買いやすいのがいいですね。
タンクバッグ
タンクバッグは積載容量こそ大きくないものの、ライダーの近くに配置できるのでよく使うものを入れておくと便利です。
ツーリングマップルが見えるようにセットできるのが主流でしたが、最近ではスマホやナビをセットする構造のものもあります。
選び方としては
・タイプ…地図とスマホナビ、どちらをメインで使うか
・サイズ…大きすぎると乗車姿勢やハンドル操作の邪魔になる
・固定…マグネットか吸盤か
で見るのが良いでしょう。
タナックス マップバッグ
タイプ地図メイン サイズ薄型3.3L 固定マグネット
ツーリングマップが入り、最小限の容量で良いならこれ。
薄型なのでハンドル操作の邪魔になりづらく、多くの車種にマッチします。
マップは後ろから差し込むだけなので、信号待ちの間にササッとページを変更できます。
タナックス マップ&ナビバッグ
タイプ両立型 サイズ4〜6L可変 固定マグネット
スマホナビを使いつつ、地図も見開きで見れるハイブリッド型。
スマホを横向きに入れておくポケットがあり、スマホホルダーのようにナビを使用可能。
見開きでマップを収納することも出来るので、ナビとマップを使い分けたいユーザー向け。
タナックス ライトスポルトタンクバッグ
タイプスマホ特化 サイズ小型2.3L 固定マグネット
スマホナビをメインに考えられた小型タンクバッグ。
スマホを縦向きのまま差し込むことが出来る。スポーティな形状でSSバイクにもフィット。
排熱用の穴が空いており、スマホの熱対策にも工夫がされています。
リアボックス
リアボックスを取り付けるには、車種ごとに設定されたキャリアフレームと、箱を乗せるプレートを用意する必要があります。
キャリアだけで大体1〜1.5万円、ボックスに1〜2万円ほどかかります。
それなりに費用もかかりますが、防水性があり鍵のかかるボックスはバイクにとって非常に利便性の高い積載アイテム。
下手な大型バッグを買うくらいなら、リアボックスを取り付けたほうが絶対に便利です。
GIVI用キャリアの取り付け
ボックスといえば定番のGIVI。
まずは箱を取り付けるためのキャリアフレームを買いましょう。
よほどの珍車でなければ大体はラインナップされています。
次に箱を載せるための土台「ベースプレート」を用意します。
こちらは汎用品ですが、キャリアにマッチする物を選ぶ必要があります。
今回はフレーム、ベースプレート共に「モノロック」シリーズ用をチョイスしました。
GIVI E34 モノロックケース
キャリアがGIVIのモノロック用なので、ボックスもGIVIのモノロックで合わせる必要があります。
こちらのE34は最もスタンダードなサイズのボックス。
ちょうどフルフェイスヘルメットが収まる大きさなので、せっかくボックスをつけるならこのくらいのサイズを選びたい所。
GIVI E43 モノロックケース
E34よりも一回り大きく、やや角ばった形状をしているのがE43。
フルフェイスヘルメットが2個入るので、タンデムや荷物が多いツーリングの際に重宝します。
私は元々E34を使っていましたが、あまりにボックスの使い勝手が良いのでE43にサイズアップしました。
どんどん荷物やお土産が増えていくロングツーリングでは、ボックスはめっちゃよく使いますね。
【荷造り】パッキングの実例とノウハウ
リアルなノウハウ、私がやってる工夫
・道中で使う可能性が高いものは取り出しやすいタンクバッグ
(防風インナー、モバブ、帽子、エコバッグ、カメラ、チケット、水筒など)
・寝袋は荷物圧縮のチャンス!(圧縮袋やコンプレッションキャップ)
シートバッグの底には平ら、長物を入れて垂れ防止


大きなシートバッグを使う場合、バッグの底面にはテーブルなどの平たいものや、ポール・テントなどの幅の長いものを入れると良いです。
こうすることでバッグの型崩れを防ぎ、バッグの端っこが「重みで垂れる」ことを軽減できます。
特にサイドバッグを使わない場合、リアシートよりバッグがはみ出すことがほとんど。
バッグの端が垂れると積載バランスも悪くバッグの固定もし辛いので、ぜひ抑えておきたいポイント。

クイックキャンプのハーフメッシュテーブルは、使いやすくて土台としてもおすすめ!
寝袋を圧縮してコンパクト収納


寝袋は中綿と空気の塊なので、簡単に圧縮して小さくすることができます。
縦方向に小さく出来るコンプレッションキャップや、縦にも横にも小さく出来る衣類圧縮袋など、方法はたくさんあります。
物によっては半分近いサイズになることもあるので、どんどん小さくして荷物の余裕を生み出していこう!
シートバッグのズレ防止対策は必須!


大きく重いシートバッグがズレてこないようにしっかり固定しましょう。
特に減速Gでバッグが前にズレてくると、すごく邪魔で不快です。荷物が当たると腰も痛くなるし、良いことなし。
ベルトなどで固定するだけでは不十分なときは、間にゴムマットなどを挟んでおきましょう。効果抜群です。
真っ先に使う道具は上の方に


キャンプ場に着いてすぐに使いたい道具は取り出しやすい位置に入れておきましょう。
設営をするならテントやペグ、グラウンドシート。
影を作るならタープ、真っ先にくつろぎたいならイスやテーブル、など。
バッグをひっくり返してゴソゴソしていては、暑い日や雨の日にすごく困ります。
キャンプ場に着いたときのことをイメージしながら荷造りしていきましょう!


私はゴミ袋を早めに準備しておくことも心がけています。
ゴミが出てからだと、面倒になってその辺に放置して風で飛んでいったり、虫が寄ってきたりと、いいことがありません。
私のやり方は、ポップアップ式のミニバケツにレジ袋などをセットしています。
すぐゴミが捨てれるし、風で袋が飛んでいくことも防げます。予備の袋を何枚か入れておけばゴミ袋を忘れる心配もなし。

みんなも真似してみてね〜
使う場面が同じ道具で固めよう


荷物はできるだけ使う場面が同じもので固めて収納しましょう。
1つのことをするのにたくさんの荷物をひっくり返していては、テントも散らかるし道具の紛失リスクもあります。
キャンプ中は当然、夜は暗いし収納棚もありません。荷物を見失うと探すのが大変です。
調理道具や食料品はサイドバッグ、着替えや防寒着は大きなスタッフバッグにまとめる、などなど。
こちらも、キャンプ中の行動や使うときのことを考えると良いですね。
少しの隙間でも有効活用!スタッキングで荷物圧縮


できるだけ荷物をコンパクトにするため、道具の隙間に別の道具を詰め込む「スタッキング」術を磨きましょう。
↑ではマグカップの内側に、お箸やスプーン、ナイフなどのカトラリー類を巾着袋に入れて収納しています。


こちらはクッカーの中にシングルバーナーや、掃除用のスポンジ、ヘラなどを入れ込んでいます。
どちらの例も空洞を無駄なく埋めること、そして使う場面が同じであることがポイントです。
例えばクッカーの中にタオルが入っていても、調理中にタオルは使わないから片付ける無駄が発生します。
防寒着、レインウェアなどはすぐ取り出せるところに


天候の変化にすぐ対応できるように、レインウェアや防寒着は取り出しやすい位置に入れておきましょう。
突然の雨なのに、レインウェアはシートバッグの遥か底だったとしたら?
雨の中、荷物をひっくり返してレインウェアを引っ張り出していたら、体も道具も濡れてしまいます。
いくら積載の制約があるとはいえ、レインウェアは特に優先で「高」で場所を決めましょう!

良い子のみんな!カッパマンとのお約束だぞ!
買い出す食料の場所を空けておく


キャンプで欠かせない食料の買い出し。
設営してから買い出しに行くのが主流ですが、いつもそう出来るとは限りません。
やむを得ず、キャンプ場までの道中で買い出ししても対応できる様に食料スペースを確保しておくと便利です。
キャンプ道具だけでバッグが一杯で余裕がないと…
・キャンプ場からスーパーまでの距離がめちゃ遠い
・予定より到着が遅れて、買い出しの時間がない
・家からすべての食料を持参したい
こういった場面で対応できなくなります。少しでも良いので、食料スペースは確保しておこう!

人気のキャンプ場に少しでも早く着きたいときは、食料持参することが多いよ!
【道具選び】バイクキャンプ向けの道具選び

積載や荷造りと同じくらい大事なのが、道具選び。
キャンプブームの今、数年前と比べても格段に選べる道具の数が増えました。
たくさんの中から選ぶのは、楽しむもあり難しいこともあり。
バイクキャンプ初心者の方向けに、道具の選び方の基本とおすすめ道具を紹介しています。
詳しくは↓の記事からどうぞ!
【まとめ】バイクキャンプは荷物積載が大事!


キャンプツーリングを始める上で最も難しくて重要な「荷造り・積載」について解説してきました。
大事なポイントは以下の3つ。
・2輪特有の積載ルールを理解する。車体より大幅にはみ出さない!
・荷物量に合わせた、適切な積載方法を考える。
・使うときのことを考えた荷造りをする。
積載量が限られ、荷物むき出しで走るバイクだからこそ、積載についてはしっかり考えなければいけません。
初めのうちはなかなか納得の行く積載にはならなくても、経験を積んで色々試していけば、きっとあなたに合うバイク積載が見つかります。
もし積載方法でお悩みがあれば、コメントや問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
これまでたくさんの積載方法を試してきた「積載マニア」の私が、アドバイスいたします!
それでは!
コメント